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だから責めはしたが、必要以上に関係の修復をねだったりはしなかった。
もう相手のお腹の中には子供がいる……
もう相手との結婚も考えている……
何より悟の中から私との未来が完全に消えてしまっている事が分かり、身を引くしかなかった。
でも唯一救いだったのが社内で私たちの関係を知る者が誰一人居なかったという事。
逆を返せば相談する相手も、一緒に文句を言ってくれる相手も居ないということになる。
でも私には容子がいた。
勿論、容子は会社も違うし悟とも数回しか会った事がない。
でも"話せる"ってことが……
気持ちを"吐き出せる"ってことが……
あの時の私には必要で、容子の存在にとても救われた。
それでも気持ちを切り替えるのにも、立ち直るのにもかなりの時間がかかったし、その間無駄に出会いを求めてしまった。
気がないのに気があるフリをして相手を傷つけた事もあったし、その分自分も傷ついてしまった。
それなのに悟が結婚していないなんて思ってもいなかったのだ。
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