1158人が本棚に入れています
本棚に追加
――…
―…
「えっ!?三上さんが戻ってきてるの?」
「ちょっ、声が大きいって……」
驚きの声を上げる容子の頭を軽く押さえながら、警戒したように辺りに目を配る。
ここは容子といつも来る馴染みの居酒屋。
ユキが佐藤さんと飲みに行くことをいいことに、新婚生活真っ只中の容子を半ば強引に誘ったのだ。
「ごめん。でもびっくりして……」
容子もつられるように周りを気にしながら、軽く手を合わせ謝ってきた。
「びっくりしてるのは私の方だよ。まさか悟が牧さんのピンチヒッターだなんて思わなかったわよ」
髪を軽く掻き乱し深いため息をつきながらテーブルに項垂れる。
「確かに今さら再会ってないわよねー。で、どうなの?」
私の言葉に頷きながらも、明らかに興味津々な様子で聞き入ってくる。
「どうって?普通よ……びっくりするくらいに」
容子の態度にムッとしながらぶっきらぼうに答える。
そして昼間の悟とのことを思い出し、余計に苛立ちと頭がモヤモヤしてきた。
.
最初のコメントを投稿しよう!