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「普通って……。咲穂は平気なの?あんなに酷い振られ方して」
容子は私が2年前に悟に振られ、どれだけ荒れ落ち込んだかを知っている分、驚きは隠せないようだった。
というか、どちらかというと驚いているというより怒っているようにも見える。
「平気とは言い難いけど、思っていたよりは平気かな?数ヶ月前は思い出すだけでも辛かったんだけどね」
さすがに最初見たときは動揺したが、あの時の事を考えると自分でも驚くくらい冷静でいられる。
「それだけ今、幸せなんだって事だよ」
まるで自分の事のように嬉しそうに微笑みながら言ってくれる容子に気恥ずかしさを感じながら私は小さく頷き認める。
それだけユキとの出会いが私に大きな影響と幸せをくれたからだと思う。
皮肉にも悟との再会によって"今"がすごく幸せなんだなって実感させられた。
「幸せなんだよね……」
染々言う私に容子は「惚気るな」と手に持っていた枝豆の殻を投げ、茶々を入れてきた。
そんな容子に私はワザと惚気て見せたが、今日容子を無理やり呼び出したのは惚気るためではなく悟の事を相談したかったからだという事を思い出し話題を切り替えた。
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