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それぞれの悩み #2
自分から話題を振ってきたのに、一向に話しだす気配がない佐藤に少し苛々してきた。
いや、苛々という表現は少し違うかもしれないが、それに似た感情だ。
さすがに俺の方から催促するわけにもいかず、ただただ佐藤が自ら重い口を開くのを待つしかない状態。
そう……
犬がご飯を目の前に"待て"をされている状態に似ているかもしれない。
好奇心、興味といったら佐藤には悪いが話の先を俺は知りたくて堪らなかった。
過去に"遊び"の女の話なら何度か聞いたことはあったが、佐藤の"遊びじゃない"恋愛話は聞いたことがないから、その内容に興味を持つなという方が無理だ。
何よりサユの一件があり、色々落ちていて自棄になりつつあった佐藤の心を動かした女にも興味があった。
誰だ?---その相手に予測もつかない。
俺と咲穂みたいな出会い方をしたとか?---まさかな。
あんな運命というか偶然が何度も起きるとは思えない。
1人悶々としながら考えていると急に佐藤が重く深いため息と共に肩を落とし、テーブルにうな垂れだした。
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