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「佐藤さんじゃ駄目なんです。だって佐藤さんのことで相談に乗ってもらいたい事があるので……」
相原の言葉に驚き、一端前に向けた視線を戻し見ると、さっきとは打って変わって表情を曇らせていた。
もしかしたら最近、佐藤の様子が変だったのも相原が絡みなんだろうか。
そうしたら、すべてのつじつまが合うような気がしてきた。
佐藤の事もあって相原の"相談したいこと"がすごく気になる。
とはいえ、いくら相談だからといって相原と2人で、っていうのもちょっと考えものだ。
「駄目ですか?こんなこと誰にも相談できなくて。もう各務さんしか思いつかなくて……」
1人思い悩んでいると、最後の一押しとばかりにすごく困った顔で懇願してきた。
社内恋愛ならではの悩みなんだろうか。
一瞬、相原に咲穂がかぶり放っておけない衝動に駆られる。
「---少しだけなら……」
日頃気の強い子だけに弱い部分を見せられ、思わず承諾してしまった。
「ありがとうございます」
言ってすぐにしまった、と思ったが嬉しそうにホッとした表情を見せる相原に何も言う事ができなかった。
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