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「各務さん次は何飲まれます?」
反省するどころか怒る俺にまでお酒を勧める有様。
「話す気がないなら帰るぞ」
さすがにこれ以上は付き合いきれないとカバンと伝票を持ち立ち上がりかかる。
「待って下さい!」
慌てた様子で俺の手を掴み止めにかかる相原の目は真剣で少し驚いてしまった。
その拍子に少し浮かした腰がまた椅子へ逆戻りしてしまう。
「ごめんなさい。本当は何も話なんてないんです。ただ誰かと……1人では居たくなくて……」
俺の手を掴んだまま、人目も気にせず頭を深々と下げ申し訳なさそうに謝りだした。
---参った。
途中からもしかしたら、とは思ったりはしたが、まさか本当にそうだとは……
「多分、最初からそう言われてたら来なかったと思うけど、嘘までつくなんてな」
ワザとキツい言い方をして相原にお灸を据える。
「じゃあ別に俺じゃなくても良かったんだろ?それなら最初から佐藤でも誘えばいいのに何で一々回りくどい事をするんだ」
佐藤ならサユのことがあったにしろ、女の誘いは断らないだろうし、どう考えてもその方が楽なのに何故こんなにややこしい事をしたのか俺には理解できなかった。
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