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迷いと選択 #2
「負けん気の強いところも変わってないんだな」
いくら私がかわしにかかっても悟に掛かると意味を無くす。
自分では変わったつもりなのに、何一つ変わっていない事を思い知らされ、悟に懐かしさを感じさせてしまうようだ。
私がもがけばもがくほど、状況は悪くなっていっているように思える。
「茶化さないでよ。それより早く用件を言って」
駄目だと分かりながらも悟の相変わらずの子供扱いにムッとしてしまう。
「お待たせしました」
私たちの険悪な雰囲気にも関わらず店員は爽やかな笑顔で私たちの間を割って入ってきた。
「あ……」
目の前に置かれた料理に思わず声が漏れてしまう。
「とりあえず食べたら?お腹が空いていたら冷静に話せないだろ?」
昔の事を特に思い出したくはないけど、悟も相変わらず私の先の先まで読んだ行動には驚かされる。
私がお腹が空くと苛々してしまう事も、ここのお店の海老ドリアが好きだったこともちゃんと覚えていた。
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