誤解

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そしてタイミング良くきたエレベータに乗り込む。 ワザと人波にのまれるように奥の方に行ったのに、相原は上手いこと身体をよじらせながら俺の居る場所まで移動してくると、どこか勝ち誇ったような顔をしながら隣に並んだ。 ---逃げようとしても無駄だって事か…… 逃がすまいと隣にピッタリと張りつくように並ぶ相原に俺は諦めのため息をついた。 「ため息をつきたいのはこっちです。何で各務さんと待ち合わせしていたはずなのに、お店には佐藤さんが居るんですか?」 佐藤以上に相原の方がお冠の様子で、昨日からこの繰り返し。 ちょっとした悪戯心と押しつけ心からのものだけに言い訳のしようもない。 「や、ちょっと急に用が入って……」 分かりやすいほどの、その場しのぎの嘘の言葉に相原の冷たい視線が痛い。 「---別にいいだろ?知らない奴じゃないんだから……。それとも佐藤じゃ都合悪い事があったのか?」 こうなったら、もう開き直るしかない。 「---そうじゃないですけど、びっくりするじゃないですか」 相原の声色に急に動揺の色が滲みだし、何か引っかかるような違和感を覚える。 もしかしたら相原も佐藤の事を?---なんて都合の良い事が脳裏を横切るが、すぐに自ら掻き消す。 そんな上手い話があるわけないし、何より俺の勝手な想像に過ぎなかった。 .
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