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「そうだな。悪かった、先に一言、言っておくべきだったな」
2人の間に何かあったのだとしても、やっぱりこれ以上、踏み入るべきことではないと思い、線を引いた。
佐藤も……
そして相原も……
何かしら心にあるのだと、見ていて分かる。
ただ、興味本位に触れてはいけないほど、デリケートな問題なのだという事も分かった。
「いえ、私も過剰に反応しすぎました」
俺の言葉に、あんなにいきり立っていた相原も素直に引いてくれた。
これで何とかこの場が治まったかと思ったが、どうやら今日は厄日だったらしい。
エレベーターが止まり2人並ぶような形で降りた所にタイミング良く、喫煙室の方から歩いてきた佐藤とかち合ってしまった。
一気に2人の間に不穏な空気が漂い出し、居心地悪さを感じてしまった。
「おはよう」
重い空気をどうにか断ち切ろうと声をかけてみたが、佐藤は俺の声には全く反応を示さない。
それどころか俺の存在なんて気づいていないかのように相原に視線が向けられていた。
相原も相原で、佐藤の痛いほどの視線に気づいているはずなのに目を逸らし、顔を上げようともしない。
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