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「俺も先に一服してくるか……」
1人取り残されたようになってしまったのを誤魔化すかのように、俺はワザとポツリと呟いてから、ゆっくりと足を佐藤のいる喫煙室へと向けた。
「お、お前もか?」
俺が喫煙室へ入るのと、ちょうど二本目の煙草に火を点けようとする佐藤が迎えくれた。
「ああ」
言葉短く返事すると俺は佐藤と少し離れた、いつもの場所に行きタバコに火を点ける。
「わざわざソコで吸わなくても……」
まるで避けるように離れた位置で一服しだした俺を見てつまらなそうにぼやく。
「ココが落ち着くんだよ」
決して佐藤を避けているわけではない。
いくら喫煙室に人が居なくてガラガラでも、ココが俺の定位置で何故か落ち着く。
「変な奴」
俺の拘りが理解できないらしく呆れながら、自ら俺の隣へと移動してきた。
わざわざ移動してくるのもどうかと思うけど……
そう思ったが、これ以上絡むのが面倒で、口に出すのを止め腹の中に収めた。
「あ……っと、お邪魔します」
ドアが開いたかと思うと驚いた顔の相原がタバコポーチ片手に遠慮がちに中に入ってきた。
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