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誤解 #2
相原は俺の言葉に微かに反応するくらいで特に驚いた様子もなく見つめ返してきた。
そんな相原が今、何を考えているのか俺には分からなかった。
答えは簡単なはずなのに相原はなかなか口を開こうとはせず、俺の表情から何かを読み取るかのように見つめてくるばかり。
もし辻本の気持ちを知っていて誘いに乗ったのでなければまだいいが、知っていて誘いに乗ったのならタチが悪い気がする。
どう見ても相原が辻本に好意を持っている風には見えない。
単なる気まぐれか、それとも佐藤に対するあてつけか……
「―――意外です。各務さんまで知ってたんなんて」
相原からの言葉を待っていると、急ににっこりと笑みを見せる。
やはり後者の確信犯だったということが分かった。
「どういうつもりだ?辻本の気持ちを知っているのに……」
「どういうつもりって……。ただご飯を食べに行くだけで大袈裟ですよ。それに私、辻本くん嫌いじゃないですよ」
無理して笑っているのが分かる。
その笑顔が痛々しくて……
―――見ているこっちが胸が苦しくなってしまうくらい。
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