存在 #2

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「個人的ってどういう意味?」 私の質問に一気に立場逆転。 さっきまで逃げ腰気味だった私が今は前のめりになっている。 「そこ聞きますか?」 ちょっと迷惑そうに顔を歪め、答えを渋る。 私は仕返しというわけではないが、勿論とばかりに大きく頷き返す。 そんな私を見て志帆は諦めたように深い息をつき、まるで自分を落ち着かせるようにコーヒーを一口飲んだ。 そして何かを吹っ切れたように私を真っすぐ見据え、重い口をゆっくり開き話しだした。 「---実は……」 志帆の話の内容は思っていた以上に濃く、驚かされた。 「本当!?」 話している時の志帆の顔つきや口調からして、決して嘘を言っているようには思えなかったが、驚きのあまり咄嗟に口から飛び出してしまった。 「本当ですよ。だからちょっと気になっちゃたんです。昔の男?女?が側にいるのってどういうものかって」 まぁ、志帆が聞きたいっていうも分からないでもないが、そうサラリと"昔の"っ言われるのも気持ちの良いものではない。 .
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