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翌日。
会社に来てみれば、いつもと変わらない元気な志帆がいた。
無理しているのかな?
と、心配になり、それとなく声を掛けてみたが当の本人は「全然大丈夫です。話していて、つい感情的になってしまっただけですから」とケロッと言いのける有様に拍子抜けの私。
昨日、感情移入して一緒になって思い悩んでしまったのがバカらしくなってきてしまった。
まぁ、志帆のおかげで日頃なかなか出せない"自分"をさらけ出せたというか、素直にユキに甘えることができたから、それはそれで結果的に良しなのかもしれない。
昨晩の久しぶりのユキとの甘いひと時を思い出し、ニヤけそうになる。
「咲穂さん、仕事中ですよ」
志帆からの鋭い指摘に無意識に顔が緩んでしまっている事に気づき、慌てて気を引き締め直し仕事に取り掛かった。
でも私の緩みきった心を引き締めるかのように、昨日早く帰った分、仕事の量は半端なく、否応なしに現実に引き戻されてしまった。
--…
-…
「咲穂さん大丈夫ですか?七時まで店に来れそうですか?」
定時過ぎ。
少しでも早く帰ろうと仕事に追われている私に突然ふってきた志帆からの質問に違和感を覚える。
七時?
お店?
間に合う?
いくら考えても私には志帆の言っている言葉の意味が分からず、ピンとは来なかった。
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