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これ以上、変に悟の話に触れたくはなかったが、こう中途半端な状態はかえって気になってしまう。
私がモヤモヤしているのに、話を振ってきた当の本人は、もう興味ありませんって感じで美味しそうにケーキを口に運んでいる。
もしかしたら、これは志帆の作戦なのかもしれないとやや深読みしつつも、一度気になってしまったら気になって仕方がない。
「ねぇ、今の会話で何が分かったのか私には分からないんだけど……」
勇気を振り絞り口にすると志帆は食べる手を止め、私の方に視線を移してきた。
「そうですよね。咲穂さんには分かりにくかったかもしれませんね。私が知りたかった……というか見たかったのは咲穂さんの反応なんです」
---私の反応?
また今ひとつ理解しがたい答えに首を傾げ、自分の取った行動を思い起こしてみる。
「深く考えないでください。別に咲穂さんの事がどうこうって言うのじゃなく私、個人的なものですから」
思わず眉間にシワを寄せる私を志帆が軽く笑い飛ばす。
質問すればするほど深まってゆく謎に私は困惑するばかりだった。
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