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「――二年前?」
突然の事に驚いたのか悟は少し言葉に詰まり、でも一息つくとゆっくりと話し出してくれた。
慣れない土地でのストレス。
私と離れて初めて気づいた、私の存在の大きさ。
でも甘えられない変なプライド。
悟は私を見ないように伏し目がちで淡々と話してくれた。
それは私が耳を疑う事ばかりだった。
すごく大人で……
すごく頼りになって……
すごく……
私の中での悟とは、あまりにもかけ離れていて驚くことしかできなかった。
電話でも、メールでも私ばかり寂しいと泣き言を言い、そんな私は悟は笑い、元気づけてくれた。
私は甘えることばかりで悟の気持ちになんて一つも気づかなかった。
――気づかないなんて私はなんて馬鹿だったんだ。
「何て顔してるんだ」
「だって……」
自分がどんな顔をしているかなんて見えないけど、悟の様子からしてすごく情けない顔をしているんだと分かった。
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