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「おい……」
放っておいてと言っているのに、悟は全く訊く耳持たないといった感じで後を着いてきて、私の腕を掴んできた。
「だから放っておいてって言ってるでしょ!?」
私の苛立ちはピークに達し、思いっきり悟の腕を振り払い声を荒立ててしまう。
「放っておきたいのはやまやまだけど、打合せの時間だから」
苦笑いで時計を目配せ、手に持っていた資料を私に手渡してきた。
――やってしまった……
頭に血が上り過ぎて周りが見えなくなってしまった私は勝手に1人で暴走し、悟に当り散らしてしまった。
「――ごめん」
反省し謝りながら悟から資料を受け取る。
「ほら、遅れるぞ」
謝る私に悟は怒ることなく笑い、受け流してくれた。
「――うん」
私は悟の優しさにまた救われ、そして甘えてしまった。
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