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「本当に悪いと思ってる?ユキに何を言ったのよ」
ゆっくりと立ち上がりながら悟と睨みつける。
気分が悪い。
「――別に……。本当に何も言ってないよ。ただ、旦那が俺たちの事を気にしているみたいだから、ちょっとだけ意地悪して”本当に聞きたかったのは別の事じゃないのか”って言っただけ……」
その口調から反省の色を感じ取ることはできたが、その真意は読み取ることはできなかった。
ただ、悟の言葉に嘘はないようで私が思っているようなことをユキに話してはいないようだ。
「ちょっ……、何でそんなことユキに言うのよ!」
「悪いって。ちゃんと冗談だって言うつもりだったのに、お前がタイミング悪く化粧室から戻ってくるから、言いそびれちゃったんだって」
怒る私にバツ悪そうに頭を掻き、苦笑いを漏らす。
「例え冗談でも言って良いこと悪いことくらい分かるでしょ!?」
いくら私が戻ってきたからと言って、それでユキが誤解したと思ったのなら訂正くらいできたはず。
悟は冗談だと言ったが、確信犯のような気がしてならなかった。
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