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全身の血が沸騰したかのように一気に体温が上昇し、頭に血が上ってゆく。
「やっぱりあいつと何かあったんだな!?」
気づくと俺は咲穂の両手首を掴み、思いっきり揺さぶり責め立てていた。
「だから例え話よ!ユキが納得してくれないから」
俺に負けじと言い返しながら抵抗を見せる。
「納得しないからって普通はそんなこと言うか?言わないだろ!?」
咲穂の言葉がすべて信じられなくて……、咲穂の言葉をすべて深読みしてしまう。
「どうしたら信じてくれるの!?どうしたら分かってくれるの!?教えてよ!!」
あんまり必死に訴える咲穂の姿に一瞬、気持ちが揺るぎそうになったが、すぐに思い留まる。
その必死さが逆に違和感を与え、すべてあいつを庇っての事のように思えてならなかった。
「じゃあ、ちゃんと証明しろよ!」
そう吐き捨てるように言うと俺は力任せに咲穂を引っ張り歩き出す。
「ちょっと、どこに行くのよ!?」
俺が何を考え、何をしようとしているのか察したのか咲穂は驚きと困惑の色を滲ませ俺を見てきた。
「何って……、そんなこといちいち聞かなくたって分かっているんだろ?」
寝室へ向かわんとする俺に足を踏ん張り抵抗する咲穂に、俺は挑発するように不敵な笑みを見せる。
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