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咲穂の消えそうなくらい細い悲鳴に俺は自分のしてしまった事の重大さを思い知らされた。
「――悪い、やり過ぎた……」
これ以上、咲穂を怖がらせない様に謝りの言葉と共に更に距離をとる。
咲穂は涙を拭うと破れた服の前を掴み合わせながら、ゆっくりと身体を起こした。
乱れた髪。
涙で濡れ崩れたメイク。
そして手首には痛々しいほどくっきりと俺が掴んだ跡がついていた。
傷つけるつもりなんてなかった――ただ、本当の事が知りたかっただけ。
それなのに俺は咲穂に何をした?
いくら夫婦といえど、こんなこと決してしてはいけない事だった。
「ごめん、本当にごめん……」
謝り続ける俺に咲穂は無言で立ち上がり、そして急に自ら服を抜き出した。
「なっ」
「見たいんでしょ?跡がないか……」
露わになってゆく咲穂の肌。
戸惑う俺を前に咲穂は躊躇うことなく俺を見つめたまま脱いでゆく。
「どう?どこかにユキが探していた跡がある?」
呆気にとられていると、いつの間にか咲穂は下着姿で俺に詰め寄ってきていた。
その肌はアルコールのせいか、それとも興奮してのものか。ほんのり色づいてはいるが俺が疑っていた跡なんてどこにもなかった。
――そんなものあるわけがないのに、俺は……
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