最悪な夜

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あれから数日。 ユキの口から悟の話題があがることはなく、平穏な日常に戻りつつあった。 しかもタイミングよく自宅療養中だった牧さんが週明けから出社し、悟から仕事を引き継ぎ、私は徐々に悟と関わることがなくなっていた。 関わらなければ気にもならないし、変に腹も立たない。 変に腹も立たなければ、モヤモヤすることもなく仕事にも集中することができた。 「咲穂さん、やっと調子が戻ってきたみたいですね」 って、志帆にまで言われる始末――笑うしかなかった。 でも勘の鋭い志帆の言葉は私が私らしく戻ってきた証拠のように思え嬉しかった。 突然の過去との対面に動揺してしまった私が招いたことだと分かっているが、どうすることもできなかった。 「あの頃よりずいぶん大人になったつもりだったのにな……」 ――気持ちに年齢は関係ないって今回の事で思い知らされた。 「咲穂さん、今日こそは参加ですよね!」 帰ろうとする私の腕を満面の笑みで志帆が半ば強引に掴み、止めにかかってきた。 .
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