最悪な夜

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会社を出た私は足早に家路を急いだ。 最近、割りと仕事が早く終わるようになり、こうして帰ってご飯を作ってユキの帰りを待つ日々。 私の帰りが早いからか、最近ユキの帰りも早く、ゆっくり二人の時間を過ごすことができた。 お風呂上りのユキとの晩酌が私にとって一番の幸せな時間。 外飲みも捨てがたいが、こうしてユキと二人で部屋飲みっていうのが最近のお気に入り。 さほど酔ってもいないくせに酔ったふりをしてユキに、もたれかかってみたり。 らしくなく意味なく甘えてみたり。 ユキもユキで、そんな私の肩を抱き寄せ甘やかせてくれる。 恥ずかしい話、自分がこの歳でこんな風に甘えるなんて思ってもいなかった。 ここ1年、お互い仕事が忙しくすれ違い気味で、それが当たり前になっていたが、感覚がおかしくなっていたのだと気づかされた。 ――もしかしたらユキ不足だったのかもしれない…… その反動か今は甘えても甘えても、甘えたりない気がする。 「ユキ、もう一本飲みたい」 週末なのを良いことに、本日三本目のビールをユキに催促する。 「大丈夫か?なんか眠そうだけど……」 いつもよりハイピッチに飲む私にユキは心配そうに様子を伺ってきたが、私は構うことなく、もう一度催促する。 .
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