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※
甘える咲穂が可愛くて、つい意地悪をしてしまった。
可愛いと思うのに、意地悪して焦らしたくなる――俺の悪い癖だ……
つれない俺の態度に咲穂がやきもきしているのが手に取るように分かる。
もう少し焦らしたい気もしたが、これ以上焦らし過ぎて咲穂が機嫌を損ねては元も子もない。
何より、せっかく咲穂が作ってくれた今の雰囲気を壊すのが勿体ない。
「いい、もう寝る……」
すでにイジケ気味な咲穂がふて腐れたように、そう溢すと俺から離れて行こうとする。
「――悪い、意地悪が過ぎた……」
立ち上がり寝室へと向かおうとする咲穂を自分の方に引き戻し謝りの言葉を口にすると、咲穂の首筋にそっと口づける。
そんな俺にまだ怒っているのか答えてはくれなかったが、逃げることなく身を任せている。
どうやら、大丈夫なようだ。
やり過ぎたかと思ったが咲穂の反応に確信し、ホッと胸を撫で下ろす。
甘い……
甘い時間を久しぶりに過ごせると高ぶり暴走しそうになるのを抑え、行為を進めてゆく俺の耳に深い音がかすめる。
「あ……」
気づかないフリをしようと思っていたのに咲穂の方がその音に反応し、小さく声を漏らしてしまった。
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