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「指輪……」
グラスをテーブルに戻した時、彼女、もとい優子ちゃんが小さな声で呟いた。
その声に優子ちゃんの方を見ると視線は私の手に……
指輪のある左手の薬指へと真っ直ぐ向けられていた。
「うん、少し前に結婚したの」
気恥ずかしさを感じ咄嗟に右手で指輪を隠すが、すぐにゆっくりと右手を退ける。
だって優子ちゃんの目は少し前の私と同じ憧れの眼差しだったから。
「旦那もウチの常連なんだよ」
どこか嬉しそうに神崎さんがユキの話を持ち出した。
神崎さんったら余計な事を、恥ずかしい……
「ココで知り合ったんですか?いいなー」
神崎さんの言葉に優子ちゃんは予想以上の食いつきを見せ、さっきよりもキラキラとした目で指輪を見てきた。
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