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泊まっていけば、母親に言われた時は正直驚いた。
でも、それ以上に俺の部屋が今もそのまま残っているということに驚かされた。
しかも綺麗に掃除されている。
一瞬、咲穂の親と自分の親が被って見えた。
――結局、どこの親も同じなんだな……
気恥ずかしいが、ちゃんと俺も愛されていたんだと感じさせられた。
あまりココには良い思い出がなかったのに今更こんな思いをするんなんて思ってもみなかった。
何より、また自分の部屋に足を踏み込む日が来るなんて少し前の俺からは想像すらできなかった。
「お義父さんと何を話してたの?」
ベッドに寝転んでいた咲穂が起き上がり嬉しそうに俺を見ていた。
「ん?なんの面白味もない仕事の話」
答えながら親父とのやり取りを思い出す。
相変わらずの憎まれ口と人を小馬鹿にしたような感じ。
でも……
「どうかしたの?」
「いや、何でもない」
ゆっくりと咲穂を抱き寄せる。
親父と話していて気のせいかもしれないが、初めて認めてもらえたような気がした。
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