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「――もしかしてお義父さんですか?」
失礼かもしれないが私は驚きを隠せなかった。
まさかお義父さんがユキを!?
驚く私の反応を見てお義母さんは楽しそうに笑う。
「驚くわよね?私だって言われた時、聞き間違えかと思っちゃったもの」
お義母さんが言うのだから本当なんだろう。
でも、やっぱり素直に認めるわけにもいかず確認するようにお義父さんたちの方を見てしまった。
あ、会話してる。
相変わらずお互い渋い顔をしているが、確かに会話を交わしている二人の姿が目に留まる。
「この間、視察を兼て出張に行ったでしょ。あれ向こうでかなり評判だったみたいで、はっきり口には出さないけど嬉しかったみたいなの。ほら、今だって照れくさいからって、あんな顔して……」
あんな顔して、と言われても違いが判らない。
何処からどう見てもいつもと変わらない仏頂面で、照れくさいという言葉が似つかわなかった。
でも長年連れ添っているお義母さんには、その違いが分かるのだろうか――すごいな……
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