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「ちょっと、やめてよ!やっと寝癖直ったんだから」
慌てて起き上がり乱れた髪を直しているのに
「そんなの、また後で直せばいいだろ?」
ユキときたら勝手な事ばかり言って、また私をベッドの中へと引きこんだ。
「だから……!」
腕を突っぱね、抗議の言葉を口にする私の唇をユキが塞ぐ。
――ずるい……
そんなことをされたら、さすがの私も逆らうことなんてできない。
何も考えずに溺れてしまいたいって思ってしまう。
でも今日に限って、それが許されない事情があった。
「駄目!そんなことして誤魔化さないで、ちゃんと起きてよ」
服の中に忍び込んできたユキの手を引き抜き、思いっきり布団をめくり上げた。
だって今日はユキの実家に御呼ばれされていて、雰囲気に流されるわけにはいかなかったのだ。
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