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――…
―…
「……穂、咲穂」
肩を揺さぶられ気づくと目の前にはユキの顔が合った。
「――え?あ、ごめん寝てた」
ユキを待ちつつソファーの足元に座りテレビを見ていたはずなのに、いつのまにか寝ていたことに気づく。
「別に待ってなくていいから。寝るなら、ちゃんとベッドで寝ろって言ってるだろ?」
私の傍らに座りネクタイを緩めながら少し困った顔のユキが笑う。
「大丈夫。少しウトウトしてただけだから……」
慌てて身体を起こすと夕飯を温めようとキッチンへと足を向ける。
「うたた寝したにしろ、こんな所で寝たら風邪引くだろ?」
「心配し過ぎ!身体だけは丈夫なんだから」
妙に過保護なユキにを笑い飛ばすと、味噌汁を温めている間に冷蔵庫からビールを出しユキに手渡す。
そんな私にユキは納得がいかないと言った顔でビールを受け取り、静かに席に着いた。
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