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「そんなところに突っ立って、どうかしたのか?」
ドアの隙間からほんの少しだけ顔を覗かせたまま立ち尽くす咲穂。
その表情は何か言いたげで
「うん……」
躊躇いがちな返事が返ってくるだけだった。
「変な奴だな」
言いながら立ち上がると咲穂の方に歩み寄る。
そして咲穂の前まで来ると、ゆっくりと手を差し伸べた。
突然の事に戸惑い気味になりながら咲穂が俺の手に手を重ねてきた。
俺は手を取ると咲穂を自分の方へと引き寄せた。
寝ていたからだろうか……
いつもより少しだけ咲穂の体温が高いような気がした。
「なに……」
「仕事終わったの?」
明らかに様子がおかしい咲穂に言葉を掛けようとしたが、その言葉は咲穂によって遮られてしまった。
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