気配

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「あ、そうか……」 仕事を終え、部屋に帰ると中は真っ暗で一瞬、驚いたが今朝出がけに容子さんと会うと言っていたことを思い出した。 最近ずっと残業続きで午前様とはいかないが、遅い毎日。 それなのに今日は何故か仕事が早く終わってしまった。 「こんな日に限って……」 タイミングが悪いにもほどがあるとぼやきたくもなる。 思わず苦笑いを漏らしながらリビングへと足を進める。 真っ暗なリビングに静かに明かりを灯すと迷わず冷蔵庫へと向かう。 そして中から缶ビールを取ると、いつものソファーにゆったりと腰を落ち着けた。 お腹は空いているが、面倒で何かを作る気にはならない。 とりあえずつまみ代わりにテレビを点けた。 ――… ―… 「キ、―――ユキ!」 大きく揺さぶられ一気に意識が呼び起こされる感覚を覚え、勢いよく目を見開いた。 .
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