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――…
―…
「久しぶりだね、何にする?」
そう言いながら神崎さんが咲穂の前にコースターを置く。
「えーと、どうしようかな?」
「明日も仕事なんだから程々にしとけよ」
カウンターに肘をつき前のめり気味にカクテルを目で追う咲穂を軽く窘める。
俺の言葉に不服そうな顔を見せるが咲穂が注文したのは
「すみません、ウーロン茶貰ってもいいですか?」
「え!?サキちゃん、体調悪いの?」
咲穂の言葉にも驚いたが、それ以上に神崎の余りの反応に驚かされた……というか笑わされた。
「ちょっと何笑ってるのよ。っていうか神崎さん酷い」
堪らず声を上げ笑う俺に不服そうに溢しながら軽く睨みつけてくる咲穂。
「ごめん、ごめん。だってサキちゃんの口からアルコール以外の注文が来るなんて思っていなかったら」
神崎の言いたい気持ちも分かるだけに何も言えないが、ご機嫌取りに連れてきたのに、これでは台無しな気がして気が気じゃなかった。
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