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「うーん……」
ソレが目的で呼び出したくせに、いざとなると言い出しにくい。
というか、ユキにも打ち明けていないのに容子に言ってもいいのだろうか、なんて今更ながら思い出していた。
「だから何!?もしかして妊娠でもしたとか?」
「えっ!?」
半分投げやりに言った容子の言葉がまんまと的中したことに私はかなり動揺してしまった。
「え?そうなの?おめでたなの!?」
さっきとは打って変わって容子の表情が驚きと喜びに満ち溢れてゆく。
でも私の答えは……
「―――うん、多分……」
容子の期待とは反して中途半端なもので、みるみる容子の表情が強張ってった。
「多分って、どういうこと?病院に行ってないの?」
まるで責めるように捲くし立ててくる容子の勢いに押され答えようにも答えられない。
病院はおろか調べてさえいない―――なんて言える雰囲気ではなかった。
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