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「寒っ」
会社を出た途端、吹き抜けて行った風に身体を震わせる。
いつの間にか、こんなに冷え込んむ季節になってしまっていたようだ。
ずっと室内に居て気づかなかったが、昼間との温度差に身体の芯まで一気に冷やされてゆく。
「だから、これか……」
さっき貰った缶コーヒーの意味が今やっと分かった。
偶然か、近藤くんがくれたのは私が唯一飲めるミルクたっぷり入ったもので、暫く缶で暖を取った後、飲み干し帰路を急いだ。
――…
―…
「ただいまー。ごめん、遅くなっちゃった」
部屋に入ると灯りが灯っていて、玄関にはユキの靴。
「おかえり。俺も今、帰ってきたところだから」
私の声にリビングのドアからユキが顔を出し、出迎えてくれた。
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