気配

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「本当?なら良かった。すぐご飯作るから待っててね」 ユキの言葉にホッとしながら足早にキッチンへと向かい冷蔵庫を覗き込む。 ―――やっぱり買い物して凝ればよかった…… 乏しい冷蔵庫の中身に溜息が零れる。 とはいえ今から買い物に行ったら何時に食べられるか分からない。 出来る人は冷蔵庫にあるものでパパッと作れるのかもしれないが、今の私にはそんな技量なんて持ちあわせていない。 「ユキ、何か食べたいものってある?」 聞いてはみたもののユキのリクエストにちゃんと答えられる自信なんてない事に気づいたが、すでに遅し。 「んー、急に寒くなったからなんか身体が温まるものがいいかな?」 私の力量を重々分かっているユキからのリクエストは優しいものだったが、あまりにアバウトな答えに結局、振出しに戻る状態。 そんな私の目に飛び込んできたのは残りご飯。 「―――あ、雑炊とかでもいい?」 ユキのリクエスト通り温かいし、何より胃に優しい感じに惹かれた。 .
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