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「悪いって言うか、ちょっとした胃もたれ?空腹時に貰った缶コーヒー飲んじゃって」
雑炊で少しさっぱりした気はしていたが、やっぱり胃がグルグルしているような感じがとれない。
「缶コーヒーって……。お前飲めないだろ?」
「うん。貰った手前と寒かったので、つい……」
呆れるユキに苦笑いで返す。
「あまり酷かったら胃薬飲んどけよ?」
変わらず心配そうなユキの表情がほんの少しホッとしているのが分かった。
「うん、分かった」
ソッとユキに体を預けるようにもたれるとユキは優しく私の頭を撫でてくれた。
気持ちを良くした私がユキに頭を寄せると頭を撫でる代りに触れるだけの優しいキスをくれた。
もっと、とねだる様に唇を寄せるとユキはそれに応えるように甘いキスをくれた。
次第に深まってゆくキスと高まる互いの体温を感じながら私たちは自然と強く求め合う。
手に持っていたはずのカップはユキによって手放され、熱を帯びたユキの視線の向こうに天井を見る形となっていた。
そしてユキの名前を呼びながら、その熱に溺れる私にユキは何度も何度も深く身を沈め続けた。
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