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「―――これって陰性?」
私の手首を掴み、容子は恥ずかしいくらい食い入るように見てきた。
「うん、そうみたい……」
大騒ぎしたくせに、この結果。
恥ずかしいやら、情けないやらで穴があったら入りたい、とはこういうことを言うんだろうって身をもって実感させられてしまった。
「そうみたいって……」
呆れ顔の容子に苦笑いを見せる私。
「で、どうなの?」
「どうって?」
ハッキリ、スッキリしたところで小腹が空いた私たちは店内に戻り、2人でハニートーストをオーダー。
「だから妊娠していないって聞いてホッとした?それともがっかりした?」
「―――うーん、両方かな?ホッとしたのも本当だし、残念だなって思ったのも本当」
あまりにストレートな容子の物言いに言葉を詰まらせながら私は素直に自分の気持ちを口にする。
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