兆し #2

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「―――あったのか……」 その手をユキが検査薬ごと握りしめ、力なくその場に座り込む。 「うん……」 何となく恥ずかしくて俯いていると 「じゃあ、今すぐ調べてこい。ほら!」 急に立ち上がったかと思うと私を急かし、トイレの方へと促された。 ―――うぅ、やりにくい…… 結局、ユキはトイレの前まで着いてきて今もドアの向こうに居る。 只でさえ、慣れないことに抵抗を感じているのに…… それに、そんなところで待たれてしまうとプレッシャーのようなものを感じてしまう。 「そんなうまい話あるわけないのに……」 願わくば、そうであってほしいとは思うけど、そんな感じなんて全くない。 検査薬をケースから取り出し説明書通り進めていき、待つこと暫し。 前もそうだったけど、この時間が一番緊張する…… .
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