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興奮気味のあまり、声にならない声で何かを訴えようとしている咲穂の手にはしっかりと検査薬が握られていた。
「ちょっと見せて」
痺れを切らし、半ば奪い取るように咲穂の手から検査薬を取り上げると結果を自らの目で確認する。
「咲穂……」
―――その結果は……
「これって陽性ってことだよね。これって妊娠してるってことだよね。私、間違ってないよね!?」
気づくと薄っすらと涙ぐみながら咲穂が信じられないといった様子で俺を問いただすように訊いてきた。
咲穂に言われ、確認の意を込めて、もう一度確認してみるが、咲穂が言う事に間違いなくて
「合ってる……。合ってるよ、咲穂!」
その結果に俺までもが我を忘れ声を荒立ててしまった。
「痛い!痛いよ、ユキ!!」
その声に驚き見ると俺は興奮のあまり咲穂の両肩を力強く掴んでしまっていた。
「悪い、ごめん!」
慌てて謝り、その手を離すが我慢できず、すぐに咲穂を抱きしめた。
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