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「でも兄貴も親父もさすがだな。お前をまんまとハメるなんて」
ただでさえ面白くないのに楽しそうにからかってくる神崎の態度に苛立ちを覚える。
「煩い。そんなことより何か腹の足しにでもなるようなもの作ってくれよ」
ただでさえ面白くない上に腹も空いていて俺の機嫌はどん底状態だった。
「お前、食ってきたんじゃないのか?」
「あんな席でのメシなんか喉が通るわけないだろ」
思い出しただけでも胸やけがする。
「ていうか家に帰らなくていいのか?サキちゃん待ってるだろ」
神崎に言われて飲む手が止まる。
確かに時間も時間で咲穂も俺の帰りを持っているだろう。
でも、この苛立ちのまま帰ったら咲穂に八つ当たりしてしまいそうで帰るに帰れず神崎の店に立ち寄ったのだった。
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