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あまりの勢いに驚き、起き上がるが思わず身構えてしまった。
ドアを開け放した勢いのまま真っ直ぐ私の居るベッドまで来ると慌てた様子で意味の分からないことを口にし出した。
「大丈夫か?調子悪いのか?」
「え?何?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくるユキからは案の定、お酒の匂いがした。
―――やっぱり酔っぱらっているのか……
一瞬、何が起きたのかと心配したが相手は酔っ払い。
「大丈夫、どこもなんともないし元気、元気。ほら、もう夜も遅いし早く寝よう」
相手は酔っ払いと割り切り、軽く流すように返す。
なのにユキときたら
「本当に大丈夫なのか?本当にどこも調子悪くないのか?」
なんて私の肩を掴み、捲くし立てるように訊いてきた。
「本当に何ともないって。ユキったら一体どうしたのよ」
さすがにここまで切羽詰ったように言われると訊き返したくもなる。
「どうしたって、それは……」
そう言ったユキの視線は何故か私の顔ではなく、別のところに向けられていた。
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