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「おっ、なかなか可愛い姐さんやないか、わいが相手したはるでぇ」
意気揚々と、リングへと上がろうとしたマース。それを止めるのは勿論のこと、カルディナである。
「何馬鹿なこと言ってんのよ、このエロ犬。あんたなんかが出ていったら、色仕掛けに掛かっちゃって、大事な一勝を落としちゃうじゃないの」
「あだ、いだだだ、んなに強く、耳を引っ張らんと」
かなり強く掴まれているのか、喚きながら下がっていくマースに替わって前へと出たのは、フィルドであった。
「では、先鋒は僕が行ってきますね、セフィーさん」
「うん、頼んだよ、フィルド君。ただし、無理はしないようにね。幾ら優秀な治癒魔法を使える魔術師が居るといっても、傷を負わないことに越したことはないから」
「えぇ、出来る限りの最善は尽くします」
痛いのは嫌ですから、と苦笑を浮かべてリングへと上がって行く後ろ姿に、もう一度声援を送る。隣に居るリリスもまた、声援を贈っていた。
ちなみに、マースはカルディナに折檻を受けている。大事な戦力を削ぐような真似をしているのだが、誰も注意しようとしない。いつもの事と、受け流している。
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