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『両者、準備は宜しいでしょうか』
中央に選手が揃った所で、司会者がマイク越しに二人へと話しかける。
フィルドは尖羅を取り出し構えるが、相手の女性徒は最初に所持していた物を構えるのみ。二十メートル越しに対峙する
(あれが、あの人の魔具かな。特殊系か属性変化系か。確かめてみたいけど、僕の尖羅は近接武器だし、近付くしかないか)
本来ならば、距離を取って様子見をしたいところだが。限定されたフィールドと、見晴らしの良さに、断念せざるおえない。魔法を使って攻めるという手も、相手の魔具の能力が解らない以上、詠唱に時間を費やしている暇や、詠唱破棄での魔力消費は抑えて置きたい。
『Aブロック第一試合、湘南の風vs白き翼、先鋒戦、始め』
試合開始と同時に、女性徒へと向かって駆け出す。対する女性徒は一歩も動かない代わりに、手に握る棒を横に振る。
これに反応を示したフィルドは、急停止。
「へぇー、流石は此処に来るだけの実力者。私の攻撃を初見で避けるだなんて、なかなかやるじゃないの」
女性徒の言葉に、無言で返す。その胸元には、服が鋭利な刃物で切られた跡があった。
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