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「これで、二度目ね。流石だわ、水霊(ミズチ)の攻撃を避けただけでなく、こうも短時間で能力まで暴くなんて。高密度に圧縮した水を極細にした鞭に変えて、上手く隠してたつもりなんだけどなぁ」
隠し事がばれたと言うのに、その顔には焦りはない。あるのは、隠し事がばれた子供のような仕草であった。あろうことか、攻撃の種まで教えている
だが、それを無視するかのようにフィルドは水の楯に渾身の突きを放つ。その数は、九つ。威力を損なわずに放てる最大数だ。
しかし、それでも水の楯を貫通することは出来ない。
「無駄よ。身体能力強化をフルに使っても、水円陣は貫けないわ。軽すぎるのよ、貴方の攻撃は」
質量が大きければ流れの早い川でも、大きな岩だって押し流す事が出来る。それと同じ原理が、フィルドの攻撃にも起こっているのだ。
単純に言えば、フィルドの渾身の突きの威力が弱いということ。となれば、やることは一つ。
「大地の力よ、今目覚めの時。その力を解き放ち、我にあだなす者を地に伏せよ」
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