全国魔術大会

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「私が最初に見たときなんて、全然違う所に飛ばしてばっかで、的にすらまともに当てられなかったのに。それが今や自由自在、手足のように使いこなしてるわね」 「おそらくは、あの小刻みに動かしている指の動きに連動して、操作してるんでしょうね」 フィルドが言うようにリリスは、男生徒の動きに合わして忙しなく、指を動かしている。 「うん、多分、当たってると思うよ。でも、あれが魔具の能力ではないはず」 「セフィーの言う通りだ。速度はそこそこ、魔力も纏わせているとはいえ威力が無さすぎだ。あれを能力と言うには、些か不十分だろう。おそらく操作は付随能力。もっと他に何等かの能力があると見たほうがいい」 この、コーネリアの言葉が現実となる。 今まで流星伽の猛攻に避ける一方だった男生徒が、突如としてリリスに向かって駆け出したのだ。 肉を切らせて骨を断つ。流星伽の一撃に大した威力が無いことを知り、致命打となる部分だけを大剣と魔力を集中させて凌ぎ、突進を図ったのだ。
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