全国魔術大会

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「焔玉」 本来ならば、魔具の属性変化能力で出来た技は、普通の魔法に比べると威力が劣る。だが、リリスの流星伽は岩塊をものともせずに打ち砕いた。 「属性変化で得られる能力は、使い手によってその効果が上下するもの。詠唱破棄程度の初級魔法などに負けませんよ」 魔法が打ち砕かれた事に驚愕している男生徒に向け、懇切丁寧に説明して見せるリリス。そして、細かに指を動かし流星伽を操作。こんどは、全ての流星伽が火を纏っている。 「炎輪結界(エンリンケッカイ)」 出来上がったのは、男生徒を取り囲む、炎の輪。それが、二つ。 「流星伽の超高速回転による結界です。触れれば、遠心力と属性付与効果で威力を増した流星伽の餌食です。このまま炎輪結界の範囲を小さくすれば私の勝ち。どうなさいますか」 リリスとしては、おそらく負けを認めてもらいたいのだろう。普段の性格からして、人を傷つける事を嫌うタイプのはずだ。その証拠に、口上が長く業とらしく実力差を見せつけ、ゆうむを言わずに攻撃を仕掛けたりしない。
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