第二話 ひょっとこ

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それもプラスチックの安物じゃなくて、木を彫って作ったやつ。 それを被ってて、こっちを見てくるのよ。 目を逸らしたり、場所を移動したりしても、こっちをじっと見て る。 お面越しでも、視線って不気味だわ。 なんか気持ちが悪くなっちゃって、もう冷たいものなんかどうでも よくなったわ。 公園から出る時、もう一度そのお面屋さんの方を見たの。 もしまだこっちを見てたら、誰かに告げ口してやろうと思って。 でもね、変なのよ。 お面屋さんがなくなってるの。 見間違いじゃないわ。 どこにあったかちゃんと覚えてたし、辺りを見回したりもしたよ。 でも、ないのよ。 本当に、消えちゃったみたいに。 ……その次の日からよ、付き纏われるようになったのは。
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