第二話 ひょっとこ

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誰にって? ひょっとこよ、お面屋の木彫りひょっとこ。 あの顔に法被姿だから、どこにいてもすぐ分かるわ。 最初は昼休憩中に通りを歩いてた時よ。 なんか見られてる感じがして振り返ったら、いたのよ。 電柱の陰から、こっちをじーっと見てるんだもん。 情けない声出して飛び上がっちゃった。 目を凝らしてもまだいるし。 どうしよう、通報しようかしらって、 内心ビビリながら数分そいつと睨めっこしてたんだけど、 その内に気づいたのよ。 どうもそいつ、私以外には見えないみたいなの。 その時もちらほらと人がいたんだけど、あんなに派手なひょっとこ には目もくれず、身構えて電柱を睨んでる私の方を見て首を傾げた りするのよ。 ちょっとムカッときたけど、それで分かったのね。 私、オカルトとか怪談とか好きだから、ピンときたわ。
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