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それから、そいつは私の背後に現れるようになったのよ。
急に視線が背中に当たるから、出た時はすぐに分かるわ。
でも、どうもそいつは私のことをじっと見るだけで、何かする気配
はなかったからほっといたのよ。
たまーにポリバケツの中から顔を覗かせてたりして、思わず一人で
吹き出しちゃったこともあったし。
名前でもつけてやろうかな、なんて考えてたつい一週間前よ。
講義が早めに終わって家に帰ったら、家の前に消防車。
家の窓を見ると、煙がモウモウ!
顔が真っ青になったわ。
ひょっとしたら……と思って周りを見たら、いたわ、電柱の陰に!
あいつ、私をしばらくじっと見てたけど、急に「アバヨッ」って
感じで手を振って、走って逃げやがったのよ!
待ちやがれ!って追いかけたかったんだけど、ヒールだったから無
理だったわ。
ちぇっ。
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