プロローグ

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カップラーメン、菓子、弁当や様々な空き箱が乱散した悪臭のする4畳の小部屋。 生きてるうちに幾度となく経験する朝の日差し。 今日もまた、ニートのたかしは彼にとって無意味ともいえる朝の日差しを二階の小部屋の窓から浴びてその身を起こした。 何故無意味なのかというと彼はニートであるからだ。 一般の成人した人間なら、朝の日差しを浴びると身体を整え、仕事へと向かうのだがたかしは違う。 ただいたずらに朝の日差しを浴びて、仕事にも行かず無意味に部屋に篭り、毎日差し出されるご飯を食べる。 いわば排出物製造機といったところか。 人間にとって、世界にとって、ただ無意味な排出物製造機が起動した刹那、汚い小部屋のドアから物理的な拳の音がリズム良く三度鳴らされる。 たかしにとって、最大の迷惑である出来事。 もう何年という年月の間、毎日繰り返される朝の合図。 その音の正体は排出物製造機、たかしをこの世界に産み堕とした母ちゃんの存在だった。
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