40人が本棚に入れています
本棚に追加
透視能力。
それがセラの異能であった。
敵との間にどのような障害物があったとしても、セラの赤い目は瞬時に目標を発見する。
後は障害を貫通する威力があれば問題ない。
再び銃弾の雨が賊に降り注いだ。
それも、一粒一粒が正確に目標を撃ち抜いていく。
敵わない事を覚り、愚かにも隠れ場所から飛び出して逃げてゆく者にも7.62x51mm弾が襲い、撃たれた箇所を吹き飛ばして倒れた。
“化けもんだ。”
赤い瞳に映った一人の男は恐怖に顔を引き攣らせ、そう口を動かした。
セラはその男の顔面を撃った。
彼が血を流してグラりとバランスを崩して倒れ──
それを最後に誰も動かなくなった。
「終わりました。」
「お疲れ様です、セラさん。」
なんの脈絡も無く告げるセラに対して、清穆はいつものように優しい口調で彼女を労った。
「ほんとに俺の出番は無かったですね。セラさん一人で片付けてしまった。」
「恐縮ッス。」
「俺たちの役目は終わりました。後は駐屯兵に任せましょう。」
「はい。」
セラは深く帽子をかぶり直して顔を隠し、小さく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!