臆病者

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透視能力。 それがセラの異能であった。 敵との間にどのような障害物があったとしても、セラの赤い目は瞬時に目標を発見する。 後は障害を貫通する威力があれば問題ない。 再び銃弾の雨が賊に降り注いだ。 それも、一粒一粒が正確に目標を撃ち抜いていく。 敵わない事を覚り、愚かにも隠れ場所から飛び出して逃げてゆく者にも7.62x51mm弾が襲い、撃たれた箇所を吹き飛ばして倒れた。 “化けもんだ。” 赤い瞳に映った一人の男は恐怖に顔を引き攣らせ、そう口を動かした。 セラはその男の顔面を撃った。 彼が血を流してグラりとバランスを崩して倒れ── それを最後に誰も動かなくなった。 「終わりました。」 「お疲れ様です、セラさん。」 なんの脈絡も無く告げるセラに対して、清穆はいつものように優しい口調で彼女を労った。 「ほんとに俺の出番は無かったですね。セラさん一人で片付けてしまった。」 「恐縮ッス。」 「俺たちの役目は終わりました。後は駐屯兵に任せましょう。」 「はい。」 セラは深く帽子をかぶり直して顔を隠し、小さく頷いた。
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