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「ほんと……自分の器ってなんて小さいんでしょうね。」
セラは窓の景色を眺めながら無表情で言葉を連ねる。
「……。」
しかし、清穆はその瞳が感情を殺しきれていない事に気づいていた。
「スコープの中で、賊の一人が自分を“化け物”と呼びました。笑っちゃうッスよね。こんな奴を化け物と呼ぶなんて。いっそのこと自分がほんとの化け物だったら良かったと、今まで何度思ったのかも知らないで。……今夜もまたあの夢を見るでしょう。今度はあいつが自分を罵るのか、それとも今度はあいつに殺されるのかな。」
徐々に抑えていた感情が漏れ出してきたのか、後半は独り言のような口調で呟き、セラは座席に座ったまま膝を抱えた。
「って、そんなことを考えてました。前置きが長くなってごめんなさい。」
「いえ……。」
彼はふるふると首を左右に振る。
「つまらない話を長々と話してしまいました。こんな事まで話すつもりじゃ無かったのに。清穆さん、聞き上手ッスね。」
「そんなことはありません。それはセラさんが胸の内を聞いてくれる相手を探していたからではないですか?」
「!」
「貴女の吐け口になってそれで貴女が少しでも救われたなら、俺は満足ですよ。」
「……。」
暫くきょとんと目を丸くして黙ったセラだが、ふいにふっと微笑んだ。
「じゃあ、ついでにもう少し聞いてくれますか?」
「どうぞ。」
清穆の方も穏やかに微笑みながらセラを促す。
「自分は、さっき言ってたように弱いです。だから……強い人にはとっても憧れます。それが味方でも敵でもね。自分はそんな強い方に少しでも近付きたいッス。だから、自分は戦地に身を置いてます。少しでも自分にも強いとこはあるんだ。もしくは少しでも強くなれたんだって思いたいが為に。でも……自分は結局最後はどっちを選ぶんでしょうね。自分の命か、それとも大義か……。」
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